勝手に反省会

  • ラプソディ・イン・ブルー」はピアニストの演奏がどうもなじめなかった。本来、ジャズの要素が融合した自由度のあるのびやかな曲のはずなのに、全体的に硬い、キッチリしたイメージ。モーツァルトやベートベンはともかく、ガーシュインは合わないのかなあ、などと思いながら聞き過ごした。
  • 2曲目、3曲目では、特に金管楽器が肝心のところで何度も音が裏返ったり揃ってなかったりしたのがすごく気になったのをはじめ、全体としてあまりいい演奏とは思えなかった。
  • 終わってから近くの居酒屋さんで彼とフルートの先生と私の3人でビールを片手に批評会。「ベートーベンの第3、第4楽章がいけてなかった」という先生に「それは第1楽章のアナリーゼがしっかりできていないところに起因している」と彼は分析。作曲者(ベートーベン)はメインテーマとなるメロディで、8分の6拍子で、最初の音に付点記号やスタッカートをつけないで、わざわざ後に16分休符を持ってくることで躍動感を出そうとしているのに、そういう楽曲分析ができてないから全体的に間延びした感じの演奏になった」という彼の説に先生は感心して聞き入ってた。
  • ブラームスは重さが足りない、と。弦楽器のボーイングが浅くて、根元まで弓を使っていない。だから音の奥行きが足りない。管楽器が和音を作るところで低音の土台ができていないから、上の楽器のピッチがずれて、それが聞いていて気持ち悪い。
  • アインザッツもずれていたし、おそらく指揮者と演奏者があわせる時間がほとんどなく、ゲネプロ1回くらいでいきなり本番を迎えたのではないか、などなど、次々出てくるダメだしのヤマ。時間がなかったのか、あまり真剣に取り組むことなく、適当に本番を迎えた様子がよく見て取れる、と、まあ、本物の批評家もタジタジのご意見で「専門家」の2人はもりあがってた。
  • 私は詳しい内容にはついていけないけど、今まで聞いてきたいくつかの演奏会で感じたようなすごさや充実感が薄いように感じたのは、少し耳が肥えてきたということかな。ただ、CDだけではわかりにくいところで「ここでチェロがこんな音を出しているのか」「裏で和音をつくっているのはホルンだったのか」など、いろいろな「発見」があったので、それなりに楽しめた。玄人さんは、どうしても見方が厳しくなって楽しめる領域が小さくなってしまうのは、ある意味不幸かも。
  • 5月、6月も演奏会行きを予定している。特に6月は再度ベートーベンの第7番。どこがどう違うのか、聞き比べが楽しみ。