ロングトーンは基礎の基礎

  • 彼が注文してた「全日本吹奏楽コンクール」のDVDが届いたので、夜、一緒に鑑賞。今年のコンクールで金賞を受賞した学校・団体の演奏を集めたものばかりで、私にはどれも素敵な演奏に思える。でも、彼は「ピッコロのピッチがイマイチ気に入らないな」「サウンドのつくりかたが良くない」などと、相変らず評価が厳しい。
  • そんな彼が唯一絶賛する演奏がある。私が聞いても、確かに他の演奏よりも音が軽やかで、明らかに違うのがわかる。画面にうつる演奏者の顔を見ていても、他の演奏では「真剣にやってます」「頑張ってひいてます」って感じの、どちらかというとしかめっ面に近い表情が多いのに対して、この学校の奏者はみんな何となく楽しげ。
  • 「ここの演奏はみんな音が楽に出とるやろ? 一人一人の技術がしっかりしてて、ちゃんと考えながら演奏してるから、こういうサウンドができるんだよ。やっぱり別格だなあ。」と、しきりに感心。
  • この学校では個人のロングトーン練習が中心に基礎の基礎をしっかりと固め、パート別の練習は行なっていないとか。土台がしっかりしていない者同士が頼りあうと、全体がつぶれてしまう、という趣旨なのだそうだ。
  • 「あれくらい軽い音が出るといいな」と言ったら、「『軽い』音が出るとじゃなくて、『軽く』音が出ると』でしょ」、とクギをさされた。「軽く音を出せるように鳴るには、やっぱりロングトーンだよ。ロングトーンの練習がいかに大事か、これ見てるとわかるやろ? ロングトーンの練習なしで曲をひくなんて、ありえないから。」と、彼の力説。
  • 人に聴いてもらって楽しんでもらえる演奏をするには、自分自身が楽しむ余裕が必要で、その余裕は確かな技術によってもたらされて、その技術は基礎練習で磨かれる。その好例が凝縮されていた感じ。
  • 今日からまたロングトーンの練習、頑張ろう。マンションだから、高い音はあまり出せないけど。